『一度は行きたい幻想建築―世紀末のきらめく装飾世界』小谷匡宏著

販売価格: 935円（税込み）

JANコード: 9784479308157

祝祭は長ければそれだけ美しいものだろうかー

19世紀末に颯爽と世界を席巻し、20世紀初頭には工業化の波に消えていったアール・ヌーヴォー建築。躍動する動植物の彫刻、綺麗なニンフ、鮮やかな色彩のフレスコ画に、怪しげな男女のモチーフ。

華やかで、ポップで、ときに退廃的な美を漂わせる芸術建築が、100年の時を超え、幻想世界へと誘う。珠玉のオールカラー589点！

「たった１冊の雑誌が私の人生を変えた。「芸術新潮」1985年10月号だった。「百花繚乱」のウィーン」という特集が組まれていて、建築家オットー・ワーグナー、画家グスタフ・クリムト、エゴン・シーレらの、驚くほど技巧を凝らした幻想的な世界がそこにあった。翌年、私はウィーンへ旅立った。

　ワーグナー、オルブリッヒ、アドルフ・ロース・・・・旅先で観た、世紀末ウィーンを彩ったセゼッション（アールヌーボー）様式の建物に私は心を鷲掴みにされた。以来、毎年のようにヨーロッパへ出かけてはアールヌーヴォー建築に親しんだ。

（中略）

撮りためた36の国の400に迫る建物を選りすぐりで取り上げ、解説した。

　可能な限り住所を入れたので、スマホで簡単に場所を特定でき、スクリーンで見ることもできる。この本を手に現地を訪れ、さらに新しい情報を手に入れたり、誰も知らないアールヌーヴォー建築を発掘したりする人が現れることを期待しています」（「はじめに　幻想への誘い」より）。

著者紹介：

小谷　匡宏 (おだに・ただひろ)

一級建築士。1945年高知県生まれ。芝浦工業大学建築学科卒業。ASA設計事務所を経て、74年、小谷匡宏建築設計事務所を設立。80年、株式会社小谷設計に改組、代表取締役社長。2016年、同取締役会長。第1回、第7回高知市都市美デザイン賞受賞(針木東グリーンハイツ)(帯屋町一番街アーケード)、通商産業省グッドデザイン賞を隈研吾氏と共同受賞(雲の上のホテル・レストラン)。アール・ヌーヴォー建築巡りがライフワークで、数々の文献を渉猟し、世界90カ国を駆け巡り、1000点以上の写真に麗しき姿態を収めている。著書に『アールヌーヴォーの残照―世紀末建築・人と作品―』(三省堂書店)、『ハプスブルク帝国のアールヌーヴォー建築』(リーブル出版社)がある。

目次：

はじめに＊幻想への誘い＊

1. 東欧

セルビア―幻想的な空間に迷い込む14軒
ルーマニア―おとぎ話から抜け出した40軒
ロシアー社交界を思わせる優美な建築8軒
ウクライナ―繊細にして壮麗な傑作8軒
ポーランド―極上のキッチュを味わう3軒

2.中欧

ハンガリー― ハプスブルクの栄華が香る60軒
チェコ―神話の世界へ連れ出す雅な17軒
スロヴァキア―耽美な魅力に満ちた12軒
スロベニア―連続模様が端正な堂々の4軒
クロアチア―半裸の彫像が付く異質な1軒

3.南欧

スペイン―世界に稀な奇想の饗宴20軒
ポルトガル―色タイルの詩的な世界9軒
イタリア―自由な空想が現実化した10軒

4.北欧

ノルウェー―軽快なペンキ塗りと石造り10軒
エストニア―女神と竜がいる風変りな1軒
デンマーク―中世と近代の不可解な混淆3軒
スウェーデン―シンボリックで渋い5軒
ラトビア―秩序と混沌の独創建築10軒
フィンランド―ポップでズングリ可愛い13軒

5.西欧

フランス―アバンギャルドな11軒
ベルギー―スタイリッシュに品格漂う14軒
オーストリア―百花繚乱の世界に浸る18 軒
ドイツ―造形を楽しむ大人好みの12軒
イギリス―伝統とモダンの洒落た7軒
スイス―現代へ向かう不思議な建築4軒
ルクセンブルク―怪しげな工夫を楽しむ2軒
オランダ―変幻自在のレンガに驚く4軒